自作トラックボール「Nape」ビルドガイド

自作トラックボール「Nape」ビルドガイド

「Nape(ネイプ)」をご購入いただきありがとうございます。

Napeはご自身ではんだ付けが必要な自作トラックボールキットです。少量ですがはんだ付け済みキットをご用意していますので、はんだ付けに自信がない方はそちらをご検討ください。

Napeは別途ご用意いただくバッテリーを取り付けることで無線での使用が可能ですが、バッテリーの選定・実装をする際はリポバッテリーのリスクを理解し、自己責任のもとご利用をお願いいたします。はんだ済みキットでも同様です。なお、バッテリーなしで有線で使うことも可能です。

Napeはデフォルトファームウェアをインストールすることでマウスとして使用できますが、お好みのキーマップにカスタマイズするには設定ファイルの書き換えとGitHubを使用したカスタムファームウェアの作成が必要です(ビルドガイドの最後に作成方法を記載します)。

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※ビルドガイド内の部品や製品リンクは一部アフィリエイトリンクを使用しています。

部品・工具の確認

まずは必要な部品・工具が揃っているか確認しましょう。

キット同梱の部品

以下の部品はキットに同梱されています。

部品 点数
プリント基板(=PCB) 1
PMW3610、レンズ 1
スイッチソケット(Choc) 3
タクトスイッチ 3
水平スライドスイッチ 1
M2ねじ 8mm 4
トッププレート(3Dプリント品) 1
ボトムプレート(3Dプリント品) 1
リセットボタン(3Dプリント品) 1
スイッチキャップ(3Dプリント品) 1
キーキャップ(3Dプリント品) 3
キースイッチ(初回ロット限定で同梱 Lofree Ghost) 3
25mm染色ボール(初回ロット限定で同梱 shakupan製) 1
クッションゴム 4
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トッププレートにはあらかじめ4つの白い支持球が接着されています。また、ボトムプレートにはネジ穴となるインサートナットが埋め込まれています。もし脱落や欠損がある場合はお手数ですがXのDM(@menbou0202)へご連絡ください

ご自身でご用意いただく部品

以下の部品はキットに同梱されていません。ご自身で購入してご用意ください​。

部品 点数 主な購入先URL
Seeed XIAO BLE nRF52840(はんだ済みキットの場合は不要) 1 https://akizukidenshi.com/catalog/g/g117341/
リチウムポリマーバッテリー(無線化する場合) 1 https://www.amazon.co.jp/dp/B08FD3V6TFhttps://ja.aliexpress.com/item/1005002675195799.html
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はんだ済みキットには基板にXIAO BLE nRF52840がはんだ付け済みです。別途購入する必要はありません。

以下、各部品の注意事項を記載します。よく読んでからご購入ください。

トラックボール(25mm)

左:エレコム製、右:Shakupan製

エレコム製のほか、shakupan氏がBoothで販売している染色ボールで動作確認済みです。

エレコム製は滑りも感度も良いのが特徴ですが、赤色しか販売されていません。

赤以外の色をお求めの場合はshakupan氏のものを選択してください。エレコム製よりもややザラッとした操作感になるので精密な操作をしたい人はこちらの方が適しているかもしれません。ポナンザなどで定期的に磨くとスベスベ感を維持できます。

ペリックス製は動作未確認です。

リチウムポリマーバッテリー

リチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)はスマホなどに搭載されているリチウムイオンバッテリーとは異なり、発火のリスクが高いバッテリーです。各自購入したバッテリーの注意事項をよく読み、適切に取り扱ってください。取り扱いの不備により発生した事故などの責任は負いかねます。
就寝中や外出中など、バッテリーから目を離した状態でのUSB充電は避けてください。

必要な工具

以下の工具をご用意ください。

部品 購入先URL 備考
はんだごて https://amzn.to/40CLYKp 温度調整できるもの。260℃〜320℃を使用します。
こて台 https://amzn.to/4jltUeQ ←リンクはクリーニングワイヤーとセットのもの
はんだ https://amzn.to/3FEzmKI ←XIAO nrf52840の裏面パッドに合わせて細いものを選定しています。
ニッパー https://amzn.to/4jbGq0J 部品の脚をカットするのに使用。なんでもOK。
マスキングテープ https://amzn.to/3DEfhDH パーツ固定用。なんでもOK。
プラスドライバー https://amzn.to/4aBQlsB M2ねじを回せるもの
フラックス https://amzn.to/4h1JyuE はんだ付けが楽になります
はんだ吸い取り線 https://amzn.to/4jkLzDK はんだ失敗時に活躍します
ピンセット https://amzn.to/4g24sbq 使います
耐熱マット https://amzn.to/4jh0tuC 机の保護に
キースイッチプラー、キーキャッププラー https://amzn.to/4bIYVpX キースイッチやキーキャップを取り外す器具

工具は各自の判断で省いていただいて結構ですが、1箇所はんだ付けの難易度が高い部品がありますので、フラックスとはんだ吸い取り線はご用意ください。

ファームウェア

ファームウェアは以下からダウンロードしてPCに保存してください。

パーツのはんだ付け

キースイッチソケットの取り付け(難易度★)

キースイッチソケットをPCBの裏面(Nape v1.0など印字がされている面)に実装します。SW1、SW2、SW3と記載のある3箇所です。はんだ付けはこちらの動画を参考にしてください。

※Napeで採用しているChocのスイッチソケットには正しい向きが決まっていますのでご注意ください。詳しくはこちら

トラックボールセンサーの取り付け(難易度★★)

ボールの動きを読み取るセンサー(PMW3610)を取り付けます。

センサーの取り付け向きにご注意ください。PCB裏面の「PMW3610」の印字と、センサーに記載されている文字の向きを合わせるように配置し、脚を差し込みます。

奥まで差し込んだら、PCBから浮かないようにマスキングテープで固定します。

PCBの表側ではんだ付けします。フラックスを使ったほうがスムーズに作業できます。PMW3610は最大260℃までの温度、7秒以内でのはんだ付けが推奨されています。はんだごての温度を調整し、冷ましながらゆっくり実装してください。

取り付け後の参考図

はんだ付けできたら、センサーの保護シール2箇所を剥がします。

付属のレンズを取り付けます。レンズには向きがあります。以下の写真に合わせて配置してください。

XIAO nrf52840の取り付け(難易度★★★)

XIAO nrf52840(以後XIAO)はNapeの心臓部となる小さなコンピュータです。取り付けの難易度が高いので慎重に作業してください。

PCBの表側にXIAOを重ねます。その上から付属のピンヘッダ2つを穴に合わせて差し込みます。

※差し込みにはかなり力が必要です。怪我に気をつけて作業しましょう。

※このピンヘッダははんだ付けしません。一時的な位置固定に使用します。

PCB裏面、四角い穴(スルーホール)が空いている箇所からはんだ付けします。
まず、穴から見えるXIAOの2つのパッドにフラックスを塗布してください。

穴の角にある丸い切り欠きからハンダを流し込み、接地しているXIAO裏側のパッドに繋いでいきます。これを近接した2箇所で行うので、2つのパッドに流し込んだハンダが接触(ブリッジ)しないように気をつけてください。

以下の画像では、はんだごて(FX600)に付属のB型のこて先を使用。コテ先をXIAOのパッドに当てて熱を入れ、丸い切り欠きからはんだ(φ0.6mm)を差し込むようにするのがコツです。

目視で確認し、完成画像と比較してブリッジしていないか確認してください。ブリッジした状態でバッテリーと繋いでしまうと、XIAOが壊れます。

もしブリッジしてしまった場合は焦らずはんだ吸い取り線を使ってやり直してください。

裏面はこのスルーホール部分のはんだ付けのみで完了です。表側に移ります。

まずピンヘッダを外します。まだ裏面の一部しかはんだ付けされていないので、必ずXIAO本体を押さえながら外してください。固くて平たいもので押し出すと簡単に外れます。

XIAO両側の各端子の側面とPCBのパッドをはんだ付けします。XIAO天面の穴まではんだが浸透する必要はありません。側面とパッドが繋がっていればOKです。

取り付け後の参考図

スライドスイッチの取り付け(難易度★)

バッテリー駆動時に電源をオン・オフするためのスイッチを取り付けます。

PCBの裏面、「POWER」と印字のある箇所に、水平スライドスイッチを取り付けます。スイッチのツマミがPCBからはみ出す向きに配置し、裏面から脚を差し込んでください。

浮かないようにマスキングテープで固定します。

PCBの表側から3本の脚をはんだ付けします。足はできるだけ短くニッパーでカットしてください。

タクトスイッチの取り付け(難易度★)

主にBluetoothやレイヤーの操作をするための裏面ボタンを取り付けます。

PCB裏面に「RESET」と印字されている3箇所です。PCBの裏面から脚を差し込み、浮かないようにマスキングテープで固定します。

PCBの表側から脚をはんだ付けします。はんだ付けできたら脚はできるだけ短くニッパーでカットしてください。

はんだ付け完了後の参考図

組み立て

ケースを取り付けて組み立てます。

トッププレートとPCBを合わせる

まずトッププレートの裏側の小さな穴からリセットボタンを通します。このリセットボタンはXIAOの表面にある小さなボタンを間接的に押すために使用します。

リセットボタンの上からPCBを合わせます。トッププレート裏面の溝にうまく合わせると隙間なく接地します。

指で押さえながら、トッププレートの表側からキースイッチを3つ取り付けます。ピンの向きをよく各確認してカチッとハマるまで押し込んでください。写真の右端のキースイッチだけ取り付け向きが逆さなので注意してください。

トラックボールの取り付け

トッププレートのボールケースにトラックボールを押し込んで取り付けます。

取り付け後の参考図

ファームウェアの書き込み

ケースを完全に組み上げる前に動作確認をします。

PCとXIAOのUSBポートをUSBケーブルで接続します。リセットボタンを2回続けて押します。うまく押せているとカチカチっと感触があります。

PCに「XIAO SENSE」という名前でXIAO内のストレージが認識されます。

「XIAO SENSE」にファームウェアのファイルをコピーすれば書き込み完了です。Macの場合「うまく書き込めませんでした」という旨の表示が出ますが、書き込めているので気にしなくて大丈夫です。

Macの場合このエラーが表示されて「XIAO-SENSE」がアンマウントされるが、これでOK。

有線での動作テスト

PCとケーブル接続した状態で動作確認します。キースイッチを指で押して反応するか確認してください。デフォルトではKey3が左クリック、Key2が右クリック、Key1が中クリックに設定されています。

ボールを転がしてカーソルが動くか確認してください。デフォルトでは下の写真の向きに設定されています。

※後述する設定方法でトラックボールの向きは変えられます。

キーだけが反応しない場合は、キースイッチを外してピンが曲がっていないか確認してください。

その他動作しないものがある場合は、以下のはんだ不良を疑います。トッププレートからキースイッチとPCBを取り外し、はんだ付けした箇所を目視で確認して怪しいところははんだ付けしなおしてください。

  • トラックボールセンサー(PMW3610)の脚のはんだ部分
  • XIAOの側面のはんだ部分
  • キースイッチソケットのはんだ部分

バッテリーの取り付け(無線で使用する場合)

電源スイッチがオフ状態(ツマミがPCBの外側にあればオフ)になっていることを確認します。

バッテリーの極性を確認します。写真のように赤線が右側になっていればOKです。バッテリーによってはこの極性が逆のものがあります。その場合はご自身でプラグを付け直し、修正してください。間違った極性のまま取り付けて電源を入れるとXIAOが壊れます。

プラグの右の線が赤になっているか確認

PCB裏面のコネクタにバッテリーのプラグを差し込みます。

ボトムプレートへネジ止め

スイッチキャップとバッテリーをボトムプレートに配置します。バッテリーはケーブルが出ている方がUSBポート側に来るようにしてください。

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バッテリーとセンサーが近いため、静電気でカーソルが不安定になることがあります。クリアファイルをカットしたものをバッテリーとセンサーの間に挟んで絶縁すると安定します。

トッププレートとボトムプレートを合わせます。以下の点を確認しながら合わせてください。

  • バッテリーケーブルを挟んでいない
  • スイッチキャップの溝に電源スイッチのツマミが収まる
  • トッププレートとボトムプレートの間に隙間がない(PCBが引っかかる場合がありますが、軽く押し込むことでボトムプレートにピッタリ収まります)

4箇所をネジ止めします。ネジの溝がナメないように注意してください。

底面4箇所の溝に合わせてクッションゴムを貼ります。

キーキャップを取り付けます。

組み立て完了です。お疲れ様でした。

「Nape」の使いかた

デフォルトファームウェアで使う場合のガイドはこちらをご覧ください。

トラックボールつき自作キーボード「Nape」の使いかた
トラックボールつき自作キーボード「Nape(ネイプ)」の基本的な使い方を解説します。 作者が提供するデフォルトファームウェアを使用することを前提としています。自分でカスタマイズしたファームウェアを作りたい場合はカスタムファームウェア作成ガイドをご覧ください。 起動時 LEDが2回光ります。1回目がバッテリー残量、2回目がBluetooth接続状態を示します。 LEDの色 意味 緑🟢 バッテリー80%以上 黄🟡 バッテリー20%〜80% 赤🔴 バッテリー20%以下 LEDの色 意味 青🔵 Bluetooth接続済み 黄🟡 Bluetooth接続可能 赤🔴 Bluetooth切断済み 基本のキーマップ デフォルトファームウェアでは、各キーの役割は以下のようになっています。 キー 短押し 押しっぱなし Key1 マウスボタン3(中クリック) スクロール Key2 マウスボタン2(右クリック) なし Key3 マウスボタン1(左クリック) なし Btn1 なし Bluetoot

キーマップを変更する

NapeはZMKファームウェアを使用しているため、キーマップ変更はカスタムファームウェアを作成して書き込む方法を推奨します。以下のガイドを参考にしてください。

トラックボールつき自作キーボード「Nape」のカスタムファームウェアの作り方
「Nape(ネイプ)」はZMK firmwareを使用しています。ZMKのキーマップ編集にはいくつか方法がありますが、NapeではGitHubとKeymap Editorを使用した方法を推奨します。 GitHubアカウントがない場合はこちらから作成して、ログインしてください。 GitHub・Keymap Editorのセットアップ Napeのデフォルトファームウェアの設定をまとめたリポジトリはこちらです。 GitHub - menbou0202/zmk-config-napeContribute to menbou0202/zmk-config-nape development by creating an account on GitHub.GitHubmenbou0202 このリポジトリを自分のアカウントでフォークしてください。 フォークしたリポジトリの「Actions」タブをクリックします(自分のアカウントの画面であることを確認してください。 「I understand my workflows, go ahead and enable them」をクリックします

ZMKはZMK Studioというツールでファームウェアを書き換えずにキーマップ変更する方法も開発されていますが、まだ機能が少なく、マウスボタンなどの割り当てができないなど相性が良くありません。今後のZMKのアップデートをお待ちください。